この度、第17回日本褥瘡学会近畿地方会学術集会を開催させて頂くことになりました。元号が変わり新しい時代を迎えた最初の学術集会となります。メインテーマは「再考!褥瘡ケアのリノベーション」とさせて頂きました。平成の時代においては、褥瘡ケアは、まず治療対象として展開されてきました。そして、褥瘡を治療対象とするだけではなく、種々の予防策が実施されるようになり、褥瘡予防・褥瘡治療ともに大きく発展してきました。しかし、褥瘡予防のために用いる体圧分散寝具についても、適切な選択がなされなければ、人の動きを制約することもあります。また、一旦、褥瘡を発生させてしまうと褥瘡治療のために安静を強いることもあります。そして、これらの活動性の制限が続くと、生活不活発に伴う種々の症状の出現につながり、ひいてQOLの低下を引き起こし兼ねません。
そこで、今回のテーマを「再考:褥瘡ケアのリノベーション」として、必要な安静、そして、安全な生活活性化の視点から、褥瘡を有する方を治療対象としてだけではなく、生活をしている人として捉え、褥瘡完治後の生活を見据えた褥瘡ケア、さらには、褥瘡を有しながらも質の高い生活が送れるようにしていくための褥瘡ケアについて、改めて考えていきたいと考えております。
新しい時代の幕開けに相応しい学術集会とするために、ハンズオンセミナーと特別講演、シンポジウム等につながりをもたせた企画となるべく準備を進めさせて頂いています。褥瘡ケアは多職種連携で取り組まなければなりません。理学療法士、医師、看護師の3職種で会長、副会長を努めさせて頂き、それぞれの職種の視点、そして、他職種に期待するものは何かということを議論し、多職種が相互協力しながら褥瘡ケアを展開していく日々の臨床につながるような企画になればと考えております。
さらに、第17回日本褥瘡学会近畿地方会学術集会においても褥瘡ケア関連用品、褥瘡対策機器等の展示を通して褥瘡ケアの啓蒙も図らせて頂きたく考えております。
有意義な学術集会が開催できますよう、スタッフ一同準備を進めさせていただいております。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
第17回日本褥瘡学会近畿地方会学術集会
会 長 日髙 正巳
(兵庫医療大学 リハビリテーション学部 理学療法学科)